TEL:042-808-7291

審美歯科

立川の歯医者|立川やました歯科
2026.08.19

ジルコニアセラミックの丈夫さはどこから来るの?仕組みと選び方の話

ジルコニアセラミックの丈夫さはどこから来るの?仕組みと選び方の話

奥歯の被せ物が欠けた、銀歯を白いものに替えたいけれど強度が心配、といったご相談で選択肢に挙がるのがジルコニアセラミックです。(実際、保険診療で使用する白い素材、レジンなどは強度が強くないため、噛む力に耐えられないことがよくあります。)

ジルコニアとは二酸化ジルコニウム(ZrO2)という酸化物です。金属めいた名前ですが、分類のうえでは陶器と同じ仲間に入ります。硬いから丈夫、という単純な話でもありませんので、順を追ってお話しします。

ジルコニアセラミックの
強さを生み出す
結晶の変化

ジルコニアセラミックの丈夫さはどこから来るの?仕組みと選び方の話

丈夫さを示す曲げ強さ(曲げる力にどこまで耐えられるかを表す値)は、歯科用ジルコニアでおよそ1000メガパスカルです。前歯向けのガラス系セラミックと比べると、2倍以上の開きがあります。

ひびの先端で結晶が姿を変える

材料はいきなり真っ二つになるわけではありません。目に見えない小さなひびが生まれ、それが少しずつ伸びていって、最後に割れてしまいます。

ジルコニアの場合、ひびの先端に力が集中すると、その部分の結晶構造が別の形へと変わります。すると体積がわずかに増え、周囲からひびを締めつける力が働いて、伸びようとする亀裂を素材自身が押さえ込んでくれるのです。

人工ダイヤモンドという通称は硬さの印象が強いのですが、評価されているのはむしろこの粘り強さのほうでしょう。

薄く作れることが歯にとっての利点になる

強度に余裕があれば、被せ物を薄く設計できます。厚みを確保するために歯を削る量が減るということです。削った歯質は元には戻りません将来また治療が必要になったとき、残っている歯の量が選べる方法の幅を決めます。

噛む力に負ける被せ物と
ジルコニアセラミックとで
分かれる将来

奥歯を強く噛みしめたとき、そこには体重に近い力が加わっています。素材がこの力に見合っていなければ、欠ける、割れる、外れるという形でいずれ結果が現れてきます。

作り直すたびに歯は小さくなっていく

再治療では接着する面を整え直すため、その都度歯を削ることになります。削れる量には限度があります。繰り返すうちに土台となる部分が足りなくなり、神経の処置や抜歯に進むことにもなりかねません。

作り直すたびに歯は小さくなっていく

欠けたまま過ごしたときに始まる連鎖

欠けた縁は鋭く尖り、舌や頬の内側を傷つけます。段差には汚れが溜まりやすく、周囲の歯茎に炎症が起こることも珍しくありません。噛み心地が悪くて反対側ばかり使うようになれば、今度はそちら側の負担が増えてひとつの破損が口全体のバランスを崩していくことにもなります。

欠けたまま過ごしたときに始まる連鎖

ジルコニアセラミックを
入れると
噛み合う歯は
どうなるのか

ジルコニアセラミックを入れると噛み合う歯はどうなるのか

硬い素材を入れたら相手の歯が削れてしまうのでは、と気にされる方は少なくありません。ただ、摩耗を左右しているのは硬さそのものではないのです。

決め手になるのは表面のなめらかさ

ざらついた面は、やすりのように働きます。噛み合うたびに対合歯(噛み合う相手の歯)のエナメル質を少しずつ削り取っていきます。反対に、丁寧に磨き上げられた表面なら、摩耗の量は天然の歯どうしが擦れ合う場合と大きく変わらない水準に収まると報告されています。

削って合わせたあとの仕上げまで見ています

装着する日は噛み合わせを見ながら削って高さを合わせるため、その部分はどうしても粗くなります。ここを磨き直さずに終えてしまえば、相手の歯を傷める面が口の中に残り続けてしまいます。

当院にはデジタルマイクロスコープ「ネクストビジョン」がありますので、研磨後の表面や境目の段差を最高80倍の4K映像で確かめています。肉眼では見えない粗さが、数年後の差になって現れてくるからです。

削って合わせたあとの仕上げまで見ています

ジルコニアセラミックの
種類と部位ごとの選び分け

ジルコニアセラミックの種類と部位ごとの選び分け

ジルコニアと一口に言っても中身は一種類ではなく、透明感と強度はある程度まで両立しにくい関係にあります。

透光性を高めるほど強度は下がる

配合を変えれば光を通しやすいジルコニアを作れますが、透明感が増すほど曲げ強さは落ちていきます。そこで、強い力がかかる奥の歯には強度を優先したタイプ、見える部位には透光性の高いタイプというように、同じジルコニアでも中身を使い分けています。

実際の画像をお見せしながら相談します

繊細な色調が求められる場合は、ジルコニアの土台に透明感のあるセラミックを焼き付ける方法もあります。ただ、表面に盛った層は強い力で欠けることもありますので、噛む力の強い方には、あえて全体をジルコニアで作る設計をご提案します。

CTの画像や拡大映像を一緒にご覧いただきながらご説明します。ご自身の目で状態を確かめ、納得したうえで選んでいただければと思います。

被せ物の素材は、見た目や費用だけで決まるものではありません。どの位置の歯なのか、噛む力はどのくらいか、歯質はどれだけ残っているか、こうした条件を並べて選んだものほど、入れたあとの納得感は違ってくるものです。