銀歯との違い:虫歯の再発リスクが低い
保険診療で使用される銀歯(金属の詰め物・被せ物)は、長期間使用すると劣化し、歯との間に隙間ができることがあります。この隙間から細菌が侵入し、気づかないうちに内部で虫歯が進行してしまう「二次カリエス」のリスクが高まります。

奥歯は食べ物を噛み砕き、すりつぶすという重要な役割を担っています。前歯が食べ物を噛み切るのに対し、奥歯は咀嚼の大部分を担い、消化を助ける第一段階として機能しています。
奥歯に虫歯や欠けた部分があると、片側だけで噛む癖がついたり、しっかり噛めないために消化不良を起こしたりすることがあります。また、奥歯の噛み合わせのバランスが崩れると、顎関節症や肩こり、頭痛などの全身症状を引き起こすこともあります。

セラミック治療は、奥歯の問題を解決する優れた選択肢です。奥歯の治療では、前歯ほど見た目の美しさが重視されない一方で、強い咬合力に耐えられる強度と、長期間にわたって安定して機能し続けることが最も重要になります。
奥歯には食事の際に体重の約2倍もの力がかかると言われています。この強い力に耐えられる材料でなければ、割れたり欠けたりしてすぐに再治療が必要になってしまいます。
セラミックは天然の歯とほぼ同じ硬さを持ちながら、十分な強度を備えているため、奥歯の治療に適しています。
保険診療で使用される銀歯(金属の詰め物・被せ物)は、長期間使用すると劣化し、歯との間に隙間ができることがあります。この隙間から細菌が侵入し、気づかないうちに内部で虫歯が進行してしまう「二次カリエス」のリスクが高まります。
セラミックは精密に製作され、特殊な接着剤で歯と化学的に結合するため、隙間ができにくく、二次カリエスのリスクを大幅に低減できます。
また、セラミックの表面は非常に滑らかで汚れや細菌が付着しにくいという特徴もあります。
銀歯などの金属製の修復物は、お口の中で少しずつ溶け出し、金属イオンとして体内に吸収されることがあります。これが原因で、金属アレルギーを発症したり、歯茎が黒ずんだりする「メタルタトゥー」という現象が起こることがあります。
セラミックは陶材のみで作られているため、金属を一切使用せず、アレルギーの心配がありません。
奥歯は前歯ほど目立たないとはいえ、大きく口を開けて笑ったり話したりする際には見えることがあります。銀歯は金属色が目立ちますが、セラミックは天然の歯に近い色調を再現できるため、より自然な見た目を保てます。
また、セラミックは経年劣化や変色がほとんどないため、治療後何年経っても美しい状態を維持できます。

奥歯のセラミック治療には、虫歯の大きさや範囲、歯の残存状態に応じて複数の選択肢があります。それぞれの特徴を理解し、ご自身の状態に最適な治療法を選ぶことが大切です。
虫歯が比較的小さく、歯の一部分だけを削れば治療できる場合に用いられる方法です。
虫歯の部分を削り取った後、その形に合わせてセラミックの詰め物を製作し、歯に装着します。
インレーは咬合面(噛む面)の溝の部分や、歯と歯の間にできた小さな虫歯に適しています。
虫歯がやや大きく、歯の咬合面全体や一部の側面まで削る必要がある場合には、より広い範囲をカバーするアンレーを使用します。
アンレーは歯の山(咬頭)の一部も覆うことができます。いずれもクラウンほど大きく歯を削る必要がないため、健康な歯質を最大限残せるという利点があり、歯の寿命を延ばすことができます。
虫歯が大きく進行して歯の大部分を失った場合や、歯が大きく欠けた場合には、歯全体を覆うクラウンが必要になります。
歯を土台となる形に整えた後、その上からクラウンを被せることで、歯の形態と機能を回復します。
奥歯のクラウンには「ジルコニアセラミッククラウン」が特に適しています。ジルコニアは人工ダイヤモンドとも呼ばれる非常に硬い素材で、強い咬合力がかかる奥歯でも安心して使用できます。
従来のオールセラミッククラウンよりも強度が高く、割れたり欠けたりするリスクが低いため、奥歯の治療において第一選択となることが多くあります。
クラウン全体をジルコニアで製作した「フルジルコニアクラウン」は、表面にセラミックを焼き付けたタイプよりもさらに強度が高く、最も奥の大臼歯や歯ぎしり・食いしばりが強い方に適しています。
近年の技術進歩により、フルジルコニアでも自然な色調を再現できるようになり、審美性と強度を両立できるようになりました。

奥歯のセラミック治療は、段階を追って進められます。治療の流れを理解しておくことで、安心して治療を受けることができます。
お口の中の状態を詳しく調べます。
レントゲン撮影や口腔内写真の撮影を行い、虫歯の深さや範囲、周囲の歯や歯茎の状態を確認します。これらの情報をもとに、最適な治療法を提案し、治療計画を立てます。
実際の治療では、まず局所麻酔を行い、痛みを感じないようにしてから治療を開始します。
虫歯の部分を完全に除去し、必要に応じて歯の神経の処置を行います。その後、セラミックがしっかりと装着できるように歯を適切な形に整えます。
歯の形成が終わったら、精密な型取りを行います。シリコン印象材という材料を使い、削った歯の形を正確に記録します。セラミックが完成するまでの間、仮の詰め物や被せ物を装着します。
型取りしたデータは歯科技工所に送られ、熟練の歯科技工士がセラミックを製作します。患者さんの歯の色や形、噛み合わせに合わせて、精密に仕上げていきます。製作期間は通常1〜2週間程度です。
完成したセラミックを実際に装着します。まず仮の修復物を外し、セラミックの適合を確認します。
色調、形態、噛み合わせに問題がないかをチェックし、必要に応じて微調整を行います。問題がなければ、専用の接着剤でセラミックを歯に固定します。
セラミック治療後も、定期的なメンテナンスが非常に重要です。毎日のセルフケアでは、歯ブラシだけでなくデンタルフロスや歯間ブラシを使用し、奥歯の隙間や歯と歯茎の境目を丁寧に清掃することが大切です。
また、3〜6ヶ月ごとに歯科医院でプロフェッショナルクリーニングを受け、セラミックの状態や噛み合わせのチェックを行うことをお勧めします。
奥歯のセラミック治療は、基本的に自費診療となります。ただし、一部の条件下で、特定の歯にハイブリッドセラミック(セラミックとレジンの混合材料)を使用したクラウンに保険が適用される場合があります。
保険適用の可否は歯の位置や治療内容によって異なるため、詳しくは担当の歯科医師にご相談ください。
適切なケアを行えば、セラミックは10年以上問題なく使用できることが多いです。
実際に15年、20年と長期間使用されている例も珍しくありません。長持ちさせるためには、毎日の丁寧なブラッシングとデンタルフロスの使用、定期的な歯科医院でのメンテナンスが不可欠です。
治療中は局所麻酔を使用するため、痛みを感じることはほとんどありません。
治療後、麻酔が切れてから数日間は、削った歯がしみたり軽い違和感を感じたりすることがありますが、通常はすぐに落ち着きます。もし痛みが強い場合や長く続く場合は、早めに歯科医院にご連絡ください。
セラミックは銀歯と比べて多くの点で優れています。虫歯の再発リスクが低い、金属アレルギーの心配がない、変色しない、見た目が自然、といった利点があります。
ただし、費用面では銀歯(保険診療)の方が安価です。患者様のお口の状態やご希望、予算などを総合的に考慮して、最適な選択をすることが大切です。
セラミックを装着した直後の数日間は、接着剤が完全に硬化するまで、極端に硬いものや粘着性の高い食べ物は避けた方が安全です。完全に固定された後は、通常の食事であれば問題なく噛むことができます。
ただし、硬すぎるもの(氷、硬いキャンディー、骨など)を無理に噛むことは、セラミックだけでなく天然の歯にとっても負担になるため、避けることをお勧めします。